再登校事例

集団リンチによる不登校 女子中学生ESさん Vol.3

外出が可能に!(2回目カウンセリング)

10日後、2回目のカウンセリングです。今回もご両親がいらっしゃいました。
 
前回からの変化は、まず頭痛があったことです。これは私の方法(イヤな記憶を思い出してもらわねばならない)に伴うもので、お詫びを述べました。
 
ところが、ESさんは先週の水曜日に日中1人でヨーグルトを買いに外出したのです。以前は「絶対外に出たくない」と言っていただけに、ご両親は驚愕。
 
本人は「誰に会うかわからない恐怖が少し減った」と言います。
 
前回の続き、YKが顔を叩いたことを思い出すと「今はこわくない」。映像と音声が少し復活していたのでもう一度ゼロに。
 
次はYKのセリフです。一番記憶がはっきりしているのは「ムカつく」。
このセリフを思い出すと「こわい」D=3。A=4。
もう一つ思い出せるのが「殺す」。このセリフを思い出すと「こわい」D=3。A=3。
「ムカつく」はトラウマのアルゴリズム2回で感情も音声もゼロに。
「殺す」は1回でゼロに。
 
他にこの場所でYKについて思い出せることを徹底的に除去していきます。
 
まず、ずっと座ってるYKの姿。
思い出すと「また手を出してくるんじゃないかと不安」D=2。V=5。A=4。
これらはトラウマのアルゴリズムを5回繰り返しすべてゼロに。
 
他にカラオケボックス内でのYKの姿について残っている記憶はない、ということなので、カラオケを出てからのYKの記憶について扱います。
 
まずは歩いているYKの姿。思い出すと「別にこわくない」。V=4。A=0。これはトラウマのアルゴリズムを4回繰り返してゼロに。
 
これ以外にこの事件でのYKの姿は記憶が残っていない、ということなので、この事件以前のYKについて確かめましたが、不良っぽい連中と絡んでいることは知っていたものの、実際にその場面は見たことがない、といいます。
 
最後にYK自身について。YKを思い出すと「こわい」D=3。顔のV=4。声のA=2。色白で二重の美人だといいます。トラウマのアルゴリズムを2回繰り返してこわさをゼロに。
 
ここから私は徹底的に追い込みます。
 
これは絶対に不安を残してはいけないからです。ひとかけらでも不安があると不登校の子供は動けなくなってしまう性質があるのです。
 
近くにYKが立ってこちらを見ている、とイメージしてもらいます。するとまだこわさが出てきます(D=5)。これをトラウマのアルゴリズム4回でゼロに。
 
次に目の前のイスにYKが座ってこっちにガンを飛ばしている、とイメージしてもらうと、またこわさが出てきます(D=7)。これもトラウマのアルゴリズム5回でゼロに。
 
次に真横にYKが座ってこっちを見ている、とイメージ。またこわさが出てきます(D=4)。これもトラウマのアルゴリズム3回でゼロに。
 
さらに徹底的に絞り上げます。
 
もし街中へ出て会ったら、とイメージしてもらいます。近くの駅が会う可能性が高いので、そこで会ったら、とイメージ。すると不安感が出てきます(D=4)。これもトラウマのアルゴリズム5回でゼロに。
 
他に会う可能性の高いところはない、ということで、YKの現在の顔と声の記憶の鮮明度を確かめます。するとV=2、A=0にまで下がっていました。トラウマのアルゴリズムを回でゼロに。
 
もう一度徹底的にチェックします。街中で会ったとしたら?隣りに座って肩に手をかけてニラんできたとしたら?いずれの設定にも「こわくない」。お母さんが横でうなづいていらっしゃいます。
 
これで一旦YKについては記憶除去終了。全員の記憶を片付けた後、もう一度チェックすることをESさんとご両親に告げます。
 
さあ次は(実は一番悪質だった)EKの記憶を退治しましょう。

EKの記憶除去

事件当日の朝のEKのメールから。「起きてる?」でした。
これを思い出すと「別に」。こわくない、という意味です。

次はEKからの直接電話です。「遅れないでちゃんと来いよ」。
思い出すと「こわい、早くしなきゃ」。もう過去のことなのに早くしなきゃ、と感じるのです。
こういう所を汲みとってやらねばなりません。

こわいがD=3、早くしなきゃがD=1。電話なので音声がA=1。だいぶ記憶が薄らいできました。
トラウマのアルゴリズムを2回繰り返して感情、音声ともにゼロに。

次はカラオケボックスの前で会ったEKの姿です。話の内容は「もう思い出せない」。この場面をEK中心に思い出してもらい(拙著「不登校セラピー」第四章 記憶除去の法則参照)、出てきた映像の記憶(V=3)をトラウマのアルゴリズム1回でゼロに。

これからカラオケボックス内でのEKの記憶を除去します。
まずはEKの行為を並べ上げます。
暴力は、殴る、髪を引っ張る、ジュースをかける。
言葉の暴力は、「ムカつく」「殺す」他思い出せないぐらい多数。

まず“殴る”から。EKは腹をグーで殴るのです。何回殴られたかはよく憶えていません。
思い出すと「こわい」。痛覚の記憶はありません。

こわさはD=4。殴る場面のV=4、A=2(周囲の物音。殴るのは無言)。
恐怖と映像(音声)をそれぞれトラウマのアルゴリズム2回ずつでゼロに。

次は“髪を引っ張る”。前髪です。何回引っ張られたかは憶えていません。
思い出すと「こわい」。これも痛覚の記憶はありません。
こわさはD=3。V=4、A=1(周囲の音)。トラウマのアルゴリズム3回ですべてゼロに。

ここで終了。